2007年8月7日火曜日

070807 2006年放送の番組より

くどいようだが、これが昨年末に放送になった「ビートたけしの超常現象(秘)スペシャル2006」という番組で、ジュセリーノの予言のパートでオンエアされたV(ビデオ)の中の2コマである。

ジュセリーノはインタビューの中で自分が阪神淡路大震災を夢で予知して、それを「日本の政府関係者」に対して警告の手紙として送った、と語っている。

追補のような形で「…91年から94年までの間に4回日本政府関係者に対して…」と語っている。

原著では、(出した年は不明だが)、この部分についてはっきりと「皇室、そして日本政府と日本大使館」となっているし、ブラジルの新聞でのインタビューでもジュセリーノははっきりとそう答えている。(註1)

たま出版の本(103ページ)では「1979年に皇室(昭和天皇)に航空便で送った」と記されている。

その手紙の内容だが
前書きの後のメッセージで、まず「私はあなたが一九八九年に病が悪化し、そしておそらく死亡されるのを見ます」とある。この予知どおり、昭和天皇は一九八九年一月七日に崩御されている。
となっているのである。(同書第三版103ページ)

こうして記事にするためにとはいえ読んでいるだけでやりようのない怒りがこみあげてくるような無神経な記述である。

つづいて
二番目のメッセージとして「私の古い夢で、一九九五年に日本の神戸で大きな地震が起き、五千人以上の人が亡くなるのを見ています」と記されている。つまり一九七九年以前にこの地震の予知を受けていたようだ。(同第三版同ページ)

(VANさんからの情報)

これを見比べると、テレビで流されたインタビューと「たまの本」の記載、どちらか一方あるいは両方とも若干「事実」とは異なるということにもなる。

しかし問題なのはそういうことではない。それが、つまり手紙を送ったという相手が日本国の天皇だからといってこんなことを言うのでもないのだが、つくづくジュセリーノという人間には通常の人間としてのモラルであるとか常識がない人間であるということにあきれてしまう。これでは性質の悪い不幸の手紙を送ったことを自慢している子供とやっていることは同じである。

もちろんこんなことが事実である可能性はゼロに近いが、単なる彼のつくり話だとしてもやっていることは非常識なのである。それだけではとどまらない。これを非常識で不謹慎だと思わない人間も非常識と断罪されてもしかたがないのではないか。

というか「たま出版」の人間もこんなことをしているジュセリーノという人物に対してなんの一片の疑念も抱かなかったというのであろうか。

たとえばこれが普通の意味でごく一般的な出版社で行なう編集という作業というものを思い浮かべた場合には、まずこの部分の事実関係を徹底的に洗い出して、事実関係というもの、つまりまずは1979年(以降)にジュセリーノが出したという手紙は本当に現存したのであるかとかを追求するはずだ。

そしてそれが出されたのが1979年のことなのか1991年なのかということも明らかにする必要があるだろう。

そしてそれは(日本に住んでいる)日本人であるのならばさほど難しいことではないはずなのだが。(もし本当にその手順がわからないというのならば聞きに来ればいい。教えてあげよう。)

で、もしそれが確認できなければ、このようなものは結局は「紛い物」であるし、自分の責任においてそのような本は出版はしてはならないはずなのだが。

それがないのならば単なるホラ話である。しかもこのようなホラ話ででさえ傷つく人間は多数いるのである。どれだけの数の人が12年経った今でもPTSDで苦しんでいると思っているのだ。

テレビ朝日というテレビ局はそんなところにまでズケズケと踏み込むような無神経なVづくりをしているのである。あるいはそのテレビ朝日は、そういう無神経で嘘90%の可能性の高い記述で占められている「たま出版」という出版社が出した本の宣伝を行なっているのである。

齢六十過ぎの人物に向けてこんなことを諭すというのも気が引けるのだが。

嘘で人を苦しめたり不安にするようなことは許されてはいけないのである。絶対に。
前にも一度書いたことだが、これではまるで言葉によるテロになってしまうからだ。



註1 「エマ」さんという方からの情報による